遺伝子操作で神経細胞の再生が可能に、MRI(磁気共鳴診断装置)など医療技術は格段に進歩した。以前は、脊髄を損傷すれば植物人間状態となり、寝たきりになる のが普通だった。特に頚髄損傷などの障害を負った場合は合併症などですぐに死んでしまうことが多かった。 生き延びること自体が最大の目的で、平均余命はC(cervical:首)のレベルの年数だけと聞いていました。 頸椎は1番〜7番(C1・C7)、おおよそ最長7年くらい・・・・ その後、合併症に対する医学の進歩や介護技術の進歩で、障害者の平均余命が健常者の平均余命と同じ程度まで伸びてきました。 すると、障害者としての残りの人生を寝たきりではなくて、生きててよかったと思えるような人生を送りたい思うのが人の情(常)。 そこで、「Quality of Life」が盛んに叫ばれるようになった。 受傷した時や病気になった時にどこの病院を選ぶ(運ばれる)かによって、その後の「Quality of Life」が変わる。といっても過言ではないと思います。 つまり、病院が初期の段階から、その後の社会復帰や人生のことまで考えているか、単にその怪我や病気のことしか考えていないで大きく変ります。ぜひとも、病院はその後の「Quality of Life」まで考えてほしいですね。 「Quality of Life」は、「生活の質」と訳されることが多い。 社会福祉、社会保障の最上位概念とも言われるものです。 リハビリテーション医学の世界でも、重要視されています。 「Quality of Life」の具体的な内容としては、北欧から「ノーマライゼーション」とアメリカ西海岸から出てきた「自立生活(Independent Living)」の考え方がある。 私の場合、20年前(昭和61年)3年余の闘病生活をした、飯塚市の総合せき損センターはこの「Quality of Life」を念頭に置き、リハビリを実行している。恵まれた環境で、幸運だったと感謝しています。 病院だけでなく、一般社会もこのような思想、つまり「ノーマライジェーション」を念頭に置いて社会資本の充実に努めて欲しいものです。 電車やバスを利用する場合、一般乗客と同じように待たされることく、何処へでも自由に行けること。公共施設は勿論、いろんな種類の食堂、私の好きな居酒屋等など が普通に利用できことが「クオリティー オブ ライフ」を高めることに・・・・ また、「Quality of Access」という考え方も・・・・。 交通バリアフリー法(H12.11.15 施行)成立以降、「円滑的に移動」という思想が徐々に浸透しつつあります。 つまり、単に電車やバスに乗降して移動するというだけではなく、できるだけ安全に快適にスムーズに他の一般乗客と同じように移動するという概念です。 「Quality of Access」(アクセスの質)も、「Quality of Life」の中に入る重要な概念では・・・・・ これに「Qualty of Heart」(こころの質)が 芽生えれば・・・ ノーマライゼーション(normalization) =================================== ノーマライゼーションの目的は、障害のある人ひとりひとりの人権を認め、取 り巻いている環境を変えることによって、生活状況を障害のない人の生活と可 能なかぎり同じにして、「共に生きる社会」を実現しようとするものである。 (注:障害そのものをノーマルにすることではない。また、何でも全てを同じにするということではなく、条件を可能な限り同じにするということである。 障害の度合いによって、それに応じた様々な配慮が必要なのは当然である。) N・E・バンク−ミケルセンは、この「ノーマライゼーション」という用語と 考え方を世界で初めて福祉政策の中に織り込み、行政に反映させた人である (1990年没)。 彼は、デンマークにおいて「知的障害者の親の会」と「ノーマライゼーション」 題する文章を作り、1953年12月社会省に提出した。これをもとに知的障害者に関する福祉政策委員会が設置され、1959年にこの理念を盛り込んだ新しい法律が制定されることとなった。 以前は、障害者には、特殊な対応、特殊な教育、特殊な施設などが必要と考えられていたが、特別の大型施設に障害者を押し込めるのではなく、それに代わ る新しい生活施設を中心とするコミュニティに根拠をおいたサービスの発展が 必要であると主張している。 これは、社会福祉の領域でも近年になって認知された理念であり、現在、障害 者ばかりでなく高齢者も含めた社会福祉の基本理念の一つとなっている。 ノーマライゼーションという言葉は、1971年の国際連合第26回総会で採択された「知的障害者権利宣言」の中でも使われている。 ================================ この項は より引用しました・ |
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