-難病(特定疾患)の概念- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
難病とは一般に不治の病ととらえられることが多く、その時代時代の医療水準や社会事情 によって変化するものであるが、現在の難病の定義が確立したのは、昭和47年の「難病 対策要綱」によってです。 これによると、難病対策として取り上げるべき疾病の範囲は、下図のように二つの点に整 理されています。



難病対策として取り上げる
疾患の範囲

疾 患 例
 原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を 
 残すおそれが少なくない疾病

 ベーチェット病
 重症筋無力症
 再生不良性貧血
 悪性関節リウマチ
 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず 
 介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重 
 く、また精神的にも負担の大きい疾病

 小児がん
 小児慢性腎炎
 ネフローゼ
 小児ぜんそく
 進行性筋ジストロフィー
 腎不全(人工透析対象者)
 すなわち、医学的に治りにくい、原因も必ずしも解明されていないような、患者の立場からはなかなか 治りにくく経済的に非常に負担となるような病気を難病とするという医学的観点からの考え方と、それに 加えて、治療がはっきりしているものであっても、治療の時期を誤るとかその他の理由から病気が慢性化 し、障害を残して社会復帰が極度に困難もしくは不可能である患者も難病患者と考える、という社会的観 点です。 現在は、ベーチェット病や多発性硬化症をはじめとした130疾患が調査研究の対象となっており、その内 56疾患が医療費公費負担の対象に指定されています

対象疾患一覧表(130疾患)を詳しく見る


せきずいくうどうしょう 脊髄空洞症
1.脊髄空洞症とは
  脳や脊髄を取り囲んでいる脳脊髄液が脊髄の中にたまり、脊髄を内側から   圧迫するため、色々な神経症状、全身症状を呈する病気です。   空洞のできる詳しいメカニズムはまだよく分かっていませんが、かなりの   ケースで、脳外科の手術をすることで症状をよくすることができます。   この病気について簡単に説明してみましょう。
2.分類すると 
  大きく分類すると、  (1)キアリ奇形に伴う脊髄空洞症、  (2)癒着性くも膜炎に伴う脊髄空洞症、  (3)脊髄腫瘍に伴う脊髄空洞症、  (4)脊髄出血後の脊髄空洞症、     の4つに分類することができる。   このうち、本来の意味での脊髄空洞症は、(1)と(2)になりますので、   これについて説明します。   (1)キアリ奇形に伴う脊髄空洞症   キアリ奇形とは、小脳の下端が脊椎の方に垂れ下がったようにめり込んでく   る状態のことを指します。キアリというのは、最初にこの病気を報告した人   の名前です。この奇形がある場合に何故脊髄に空洞ができるのかは大きな謎   で、以前から多くの仮説が出されております。少なくとも言える事は、脊髄   の周りを流れている髄液という、水のような液体の流れが障害されることが、   空洞の発生に関係しているということです。   (2)癒着性くも膜炎に伴う脊髄空洞症   癒着性くも膜炎とは、脊髄の周りの水の通るスペースに、何らかの原因で炎   症が起こり、そのためにやはり、髄液の流れが妨げられることにより、その   部位から下に、空洞が出現するタイプの脊髄空洞症です。従来、比較的まれ   な病気だと思われてきましたが、MRIの検査が多く行われるようになって、   診断される機会も増えてきました。
3.患者数は 
  外来患者に占める割合は約0.4%とされ、 1991年〜1992年の脊髄空洞症の全   国疫学アンケート調査では全国の患者数は2,000名前後でした。
4.この病気はどのような人に多いのか 
  男女差なく20、30歳代の発症が多いが、あらゆる年齢層にみられます。
5.原因は分っているのか 
  大孔部という脳と脊髄の移行部にキアリ奇形を伴うものが多いですが、大孔   部や脊髄の炎症(くも膜炎)、脊髄腫瘍、外傷などに伴うもの、原因が不明   な特発性のものがあります。
6.遺伝するのか 
  遺伝性の病気ではありません。
7.どのような症状か 
  この病気の特徴は温痛覚障害です.たとえば腕を強くつまれても触れられて   いるという感覚はあるのに、痛みを感じない、あるいは火傷をしても熱さを   感じないことです。病気が進み空洞が大きくなると、しびれ、筋肉のやせ、   手足の脱力、つっぱりがみられてきます。   症状は、徐々に進行する傾向にあり、進行すると、手や腕の麻痺、歩行障害、   さらには排尿や排便の障害まで出る場合もあります。   症状は、脚よりも手や腕に強く出る傾向があります。症状があまり進行して   しまうと、それから手術をしても症状がよくならないことが多く、早期に診   断して早期に治療することが非常に大切です。
8.発症のメカニズム 
  古くから、キアリ奇形に伴う脊髄空洞症については、多くの仮説が立てられ   てきましたが、本当のところはまだよく分かっていないというのが現状です。   そもそも、空洞内の水が、どこから入ってくるのかということからして、研   究者の間で意見の一致を見ていません。   現在でも、論争の対象となる部分が多いのですが、共通の理解ができている   部分もあります。   それは、脊髄周辺の正常の髄液の流れが障害されることが、空洞発生に大き   く関与しているということです。   ある医師は脊髄の髄液の流れの物理的モデルを作り、キアリ奇形などの病的   状態で、脊髄の髄液の流れと、その圧分布がどのように変化するかを調べ、   空洞発生のメカニズムに関する新しい仮説を提唱しています。
9.治療法は 
  しびれなどの症状にあわせた薬剤による治療のほか、外科的治療(後頭蓋窩   減圧術、空洞ーくも膜下腔短絡術など)が行われます。>   キアリ奇形に伴う脊髄空洞症の場合、最も有効な治療法は、外科的手術です。   術式としては、大後頭孔減圧術と呼ばれるものです。この術式は、頭から首   に移行する部分で、脊髄の周辺の空間を広げてやって、髄液の流れを良くす   るというものです。   具体的には、後頭部の皮膚を10cmほど切開し、後頭骨を少し削り、1番   の頚椎の椎弓をはずして、脳を覆っている硬膜と呼ばれる硬い幕を切開し、   髄液が流れるスペースを充分に作ってあげます。   この手術によって、多くの場合に、空洞を縮小させることができ、症状も軽   快します。しかし、症状がある程度以上進行してしまったあとで、手術をし   ても、有効でない場合が多く、早期に診断して治療することが非常に重要で   す。
10.この病気はどういう経過をたどるのか 
  未治療の場合、症状が徐々に進行することが多いです。時に症状が進行した   後、停止あるいは改善することもあります。


      
脊髄空洞症の食事・栄養について
脊髄空洞症では、空洞が延髄などの脳幹部に形成(延髄空洞症)されたり、 併発するキアリ奇形により脳幹部が圧迫されたり、また、舌下神経麻痺に より舌の萎縮を呈する場合で、食事の際に時に飲み込みづらさや飲み込ん だ水分などが気管に誤って入いり、むせて苦しくなる誤嚥がみられること があります。  これらは、嚥下に関する機能が障害されるために起こりますので、飲み 込みやすい食品(水気のあり、滑らかな食品、とろみ食など)を選択し、 水分、栄養補給に注意をする必要があります。 ----------------------------------------- 情報提供者  氏 名 森若 文雄 氏  所 属 神経・筋疾患調査研究班(神経変性疾患) 北海道大学医学部神経内科  情報更新日 平成10年10月28日 -----------------------------------------


難病情報センター・その他より資料抜粋 http://www.nanbyou.or.jp/

同じ空洞症の方のHPにリンク

私が罹患したころは症例も少なくデータがあまりありませんでした
図解入りで詳しく、説明されています


参照文献 : 脊髄空洞症(Syringomyelia)のすべて
http://www.kameda.com/medi_services/spine/pdf/spine3.pdf
医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンター


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