早 朝 散 歩



1999年 夏


 燦燦と照りつける太陽光線を避け、早朝にリハビリとマラソントレーニングを兼ねた

 散歩をしています。


 朝早い、オゾンで満たされた潮の香りを胸いっぱいに吸引し、車いすを

 漕ぐ爽快さはなんとも言えません。

 地行浜・百道浜と端から端までを往復すると6Kmほどになります。

頚椎損傷で汗が出ない私は浜辺に海水浴客のために設けられた
 
シャワーで頭から足先まで水浸しになり身体を冷やしながら走行しています。

 今日はトレーニング終了後、帰宅するのに久しぶりに

国立病院九州医療センターを通るコースを選んだ。


 つい最近、停留所が病院敷地内に設けられ、路線バスが玄関先まで入って

 来るようになりました。

 これまでは、福岡ドーム野外駐車場側(現在は娯楽施設工事中)にあり、

乗客は下車後、

雨に濡れながら病院まで行かなければなりませんでした。

玄関先まで雨、風を避けて行けるのは患者さんにとってはありがたいものです。

 それに伴い、車・歩道路整備で工事が行なわれていた。

その間、このコースは通らずに他の歩道へ迂回していた。

 久しぶりにこのコースに回り、遠目には立派に整備されているように見えました。


 ここは改良前は大きな段差(例の勾配が大きい)があり、私にとっては危険な歩道の一つでした。
 
 しかし、立派に整備されたと思われたその場所に近づき、

目に入ったのは段差を設けた歩道でした。



次第に怒りが!!


改良前は病院敷地と車道との境界線にも段差があった。

 この境界線は完全に段差を取り払い、バスは振動もなく敷地内へ入って行けるのだが

 歩道は以前よりは多少、低くはなったものの「段差」が設けてあるのです。


 馬力の強いエンジンで動くバスには段差を撤去し配慮する、

車いすに乗った馬力の弱い者には配慮しない。


 「高齢者や障害者に優しい街づくり」・「バリアフリー」・「ノーマライジェイション」

 と、掛け声だけは立派なことを言ってはいるが、個々の現実はこの程度のことしか

 理解、認識していないのです。


 「『福岡型福祉社会』のための環境づくり指針」 という、誰もが一読してなるほどと感心する

 立派な冊子を市は関係企業などに配布してはいるものの

 入り口に敷石を設け、キャスタ(前輪)が溝にはまり込んでしまうという、



車いすが身動きできない車いす用トイレを設けたり、なんとも情けないものである。
 

本当に理解できていないのですね。

当事者(障害者)の意見を尊重し、「人に優しい街づくり」なんて、

これでは到底できそうもないですね

 これが行政・行政関係者の姿です。


 ことあるごとに窓口である障害者団体に相談や苦情を持ちこんではいるが
 
こことて、何がしかの援助金(助成金)欲しさに、行政の方にだけ、

視線が向いているので本当の声がとおり難い。

 なんともやり切れない思いでだ。

 早朝の清々しい散歩が怒りに変った。


平成11年8月19日記す


平成17年(2005)2月3日にセンター入口は改良されました



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